廣松渉『資本論の哲学』批判

やすいゆたか著

この論稿は1980年2月29日に経済哲学研究会より藤田友治氏の編集で発刊されたものを底本に少し手直しを加えたものです。

目次

はじめに

第一章、廣松氏の「俗流」投下労働価値説に対する批判の批判

第1節、具体的有用労働の対象化、凝固、物質化について
a、自己対象化と自己疎外論の問題点
b、労働の自己対象化の論理

第2節、抽象的人間労働の凝結について
a、「単なる生理学的労働力能の支出」と「社会的実体」
b、抽象的人間労働の歴史的相対性
c、労働時間と価値量の関係
d、「俗流」投下労働価値説批判の論拠
e、再生産に必要な労働量と価値量

第二章、価値形態論をめぐってー廣松説の特徴ー

第1節 商品交換の論理的主体は商品か商品所持者か
a、価値形態論に商品所持者を登場させる動機
b、価値形態に商品所持者が登場する根拠
c、商品自身の主体的な交換論理

第2節 二種商品間の交換は貨幣によって前提されるか
a、端初商品の性格規定
b、抽象的人間労働は相対的価値形態で措定できるか

第3節 価値的諸関係の「四肢的」存立構造と関係規定
a、交換において商品所持者が捨象される意味
b、商品における人称性の捨象と抽象的人間労働
c、抽象的人間と抽象的人間労働の実在性、商品関係に包摂された分業関係

第三章 「価値」とは何か、その存在性格

第1節 商品価値とその判断
第2節 関係規定としての価値
第3節 美の客観的実在性について
第4節 「事物」と「関係」の関係について
第5節 効用としての労働生産物の本質
第6節 商品は人間の抽象的な現存である
第7節 抽象的人間としての商品
第8節 身体およぴ生産物としての「商品=人間」
第9節 社会的な物的支配カとしての価値
10節 抽象的人間労働の論理構造
第11節 価値の実体性

第12節 存在性格としての価値
第13節 価値と価値意識
第14節 美と価値の存在性格の比較

第四章、「商品」の物神的性格をめぐって
第1節 商品の物神性とは何か
第2節 商品がくり広げる奇怪な妄想
第3節 労働生産物と価値の内在
第4節 人間関係の商品関係への物象化

第5節 「倒錯視」とは何か

第6節 「社会的な物」としての商品
第7節 「商品世界の物神崇拝」論とその問題点
第8節 自然的規定と社会的規定

第五章、名探偵廣松渉氏の見事な推理-マルクスの叙述の便法についてー

結ぴにかえて

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