宗教のときめき

 3.フリー・ハグズ
やすい ゆたか

 愛信じ、路行く人と抱き合う、このぬくもりに平和宿るや

なんでも商品化されるようになりますと、人間の肉体まで商品化されるところまで行き着きます。臓器売買、人肉売買にまで行き着つくのです。そこまで極端にいかなくても売春という肉体レンタル業を蔓延させます。近年売春も専門職ではなくなり、フリーターや小遣い稼ぎの援交がはやりだしたそうです。最近は生産者中心から消費者中心に転化したせいか、無料でセックスさせたり、フリー・ムービー(無料動画)でみせびらかす傾向が拡大しつつあるようです。これもモノ化、商品化の一面でしょうね。 

このようなモノ化への抵抗と見られるのが「フリー・ハグズ」です。これを「無料抱擁」と訳さないで欲しいですね。オーストラリアの一青年Juan Mannさんが街角に立って「フリー・ハグズ」キャンペーンを展開した映像が全世界に流れています。
(
YouTube http://www.youtube.com/watch?v=vr3x_RRJdd4) 

これを観て多くの人が涙を流して感動したのです。見ず知らずの人同士が抱き合い、愛情を確かめ合うことができるのです。「愛を信じる」これこそ宗教的感情の原点ですね。そのことがどんなに素晴らしいことか「百聞は一見にしかず」です。 

この運動を始めたのはフリー・ハグズ・ジャパンのサイトの紹介記事によりますと、アメリカのJason Hunterさんだそうです。その記事を引用しておきましょう。

「現在ある情報から推測すると、アメリカのJason Hunterさんが最初にこの活動を始めたと言っているようです。Jasonさんは、2001年に多くの人に愛された母親を亡くし大切なことに気付きました。彼の母親は、たくさんの人々を抱きしめ、どんなに"あなた"が大切であるかを伝える素敵な人でした。そしてJasonさんは、「私たちの仕事がなんであれ、私たちにできる大切なことは、私たちが自ら歩み寄ることによって他者を助け、励ますことではないか」「親切で励みになる行動が、私たちの日常に変化を与えてくれるだろう」それを示す行動がFREE HUGSであり、Jasonさんはこのメッセージを多くの人に伝えようと「FREE HUGS」というプレートを持ってマイアミの浜辺を歩き始めました。これが始まりです。ちなみに、みなさんがこの活動を知るきっかけとなったYouTubeの男性(Juan Mann)と最初に活動を始めたと言っている人(Jason Hunter)は同一人物ではありません。」( http://www.freehugs-jp.com/) 

実は『探偵ナイトスクープ』というバラエティ番組で「フリー・ハグズ」キャンペーンに共鳴した青年が、梅田でパフォーマンスを展開したのです。その青年は千早赤阪村の青年で小学教師を志望しています。彼は小学教師になる前に愛情が通じ合えることを自分の胸で体感したかったのでしょう。 

私が編集しているWEB雑誌『プロメテウス 第二号』のインターミッションにはフリー・ハグズ キャンペーンのYouTube映像をリンクしてあります。次第に盛り上がって輪を広げていく様子が、見事に映像化されていて、音楽も素晴らしい。長く日映新社で映画作りに監督として携わっていた人間ルポルタージュ作家上原隆さんによりますと、最初にハグに成功した途端にモノクロからカラーにパッと切り替わるのが、上手だということです。この種の短編映画祭があればグランプリ確実の名作でしょう。

 

           FREE HUGS写真