唯一神信仰と神の子信仰の矛盾

   ヘブライズムの神は唯一絶対の超越神の筈ですね?ところでではイエス・キリストは、神じゃないのでしょうか?イエスは、神の一人子です。神の聖霊が人の娘マリアに入って生ませたとされていますから、神と人との相の子なのです。だから神であると同時に、人だとされています。じゃあ、神はヤハウェとイエスと二神にならないでしょうか?それがよく分からないんですが、三位一体神といって、父なる神ヤハウェと子なる神イエス・キリストとキリスト者(キリスト教の信徒)に宿る聖霊なる神は、それぞれ別々の神格を持っているけれど、だから別々の神として現れるけれど、実は一体でどれも唯一神の現れだということなのです。

 神格が違うのにどうして唯一神といえるのかについては、キリスト教でもその論理を人間の智恵ですべて説明し切るのは難しいとされているんです。だからユダヤ教徒やイスラム教徒はこの説明を全く納得していません。彼らに言わせるとキリスト教の説明は、唯一絶対神信仰を否定するもので、神を冒涜するものだと批判しているんです。

 三位一体神というのは三つ一組というので、すごくかっこ良くまとまっていますが、たしかに部外者からみれば、苦し紛れって感じですね。それにカトリック教会なんか、マリア信仰が盛んじゃないですか。マリアだって神の母として信仰の対象にすれば、神に含まれてしまうから四位一体神になっちゃってるんです。マリア信仰は、愛の神の慈愛と寛容の面をシンボル化したものです。また神を生む母なる神として母性の神格化です。

 ところで、イエス以外に神の子はいたのでしょうか?イエスは神のひとり子でしょう。 だったら他に神の子がいるのはおかしいですね。それがね、「神の申し子」というのがいるんです。ユダヤの王になるとき、神の養子として認められて地上を支配します。ダビデ王やソロモン王などが預言者に油をそそがれて、神の申し子になる儀式をしました。この場合は養子だからまだいいけれど、イエス以外に実は神の実子が『旧約聖書』に登場するんです。そしたらユダヤ教が唯一神信仰を『バイブル』を根拠に唱えるのと矛盾することになりますね。

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