やすいゆたかの短歌集 八〇一〜九〇〇

 

八〇一  恒久の平和誓いて捨てし武器、国滅ぶとも手にすまじきを

 

やすいゆたかの「構造構成主義入門」
第一章 信念対立を超えて

八〇二  信念の対立超えて語り合い共に拓くや共生の道

八〇三  マルクスを採れどサルトル捨てがたし時にデューイも心惹くかな

八〇四  物質とはそも何なりや意識から独立とせばいまだ意識か

八〇五  イエスなる男ありしか十字架に罪を贖い甦りしや

八〇六  関心によりて異なる本質を処得させて大樹立つるや

八〇七  自らの主体問いつつ今日の自己いかに選ぶや思案に暮れつつ

八〇八  対象を効果によって規定するプラグマティズムは実在認むや
八〇九  道具的理性は人を物にしてアウシュビッツのシャワー生みしや

八一〇 事を為すその志高けれど事の結果の責めは避けまじ

 

聖徳太子の夢

八一一  縄文の森の民とも共存し和の国建てむ大和ますらお
八一二  御仏の慈悲の光に照らさむと菩薩太子が経講じけり
八一三  和を以って貴しとなす国ならば大和と書きてやまとと読ましむ
八一四  大きなる事を決すにあたりては衆と論ぜよ和の心にて
八一五  お互いに聖でもなければ愚でもない凡夫ならくに違えど怒らめ
八一六  環境と平和を守るそのために信念超えて手を携えよ
八一七  すめろぎは絶対の剣握れるやただまとまりの要にすぎずや
八一八  すめろぎは菩薩ならまし仏への帰依の心を収め取るには
八一九  天台の教え知らずに経を説く使いは空し長安の空
八二〇  人も花もその哀しみも収めとり救いの露を与えまほしや
八三〇  さす竹の君はやなきに火炎瓶投げつけられてホームレス哀れ
八三一  煩悩に染められてこそ煩悩を超えし涅槃が微笑みしかは
八三二  世の中やそろそろどうも煩わし仏に戻りて次生に備ふや
八三三  和の国を築く太子の志継ぎて山背皇位望めり
八三四  国ごとに武力で対峙続けなばカルトですらもハルマゲドンか
八三五  同じ神信仰したる同士ならなどて争う共倒れるまで
八三六  異質なる思想、文化を組み合わせ大樹つくりて花咲かせみむ

 

哲学の誕生、自然哲学
八三七  輪になりて生きる理(ことわり)示したる古今の人と苦悩分かたむ
八三八  物事を筋道立てて根っこから皆に通じる原理で明かせよ
八三九  アルケーは一体何だと尋ねたら水だと答えし人はターレス
八四〇  コスモスの調べ奏でるピタゴラス数的調和をアルケーとせり
八四一  土こそは命と捉え返すなら土に還るは命の循環
八四二  風吹きて気が集まれば雨が降り、降り固まれば土になるらし
八四三  生命と魂なるは同じ意味古代ギリシアでプシュケーと呼ぶ
八四四  闘いの火こそ命の原理なれ、燃え生きてこそ輝けるを
八四五  四元が愛と憎しみ繰り返し永劫回帰の時を紡ぐや
八四六  有らぬものケノンが有らぬといふのなら多様も変化もドクサならずや
八四七  有ることを生きることだと捉えなば、まことに有るは命のみかは
八四八  飛んでいる矢が止どまりておりしなら主の御胸を射抜いてみしょうぞ
八四九  コスモスをケノン、アトムにまとむれば、意味・価値・目的、無に帰さざるや


キリスト教

八五〇  神の子も聖霊すらも神ならば神は唯一と言われぬものを
八五一  土くれや蛇を崇めて何とする神貶めなば審き避けまじ
八五二  忘するまじ神と交わせし約束は果たせぬならば漂白の民
八五三  何時の日かメシアの時が来たりなば悔い改めよ御国に入らむ
八五四  人類の罪を背負いしキリストはクロスにつけり永遠の時なり
八五五  ダビデなる王の子孫に生まれきてメシアとなりしか預言のごとくに
八五六  荒れ野にて呼ばわる人の声聞かば悔い改めよ御国迫れり
八五七  トーラーを守るは至難の業なればメシアに頼みて命に預かる
八五八  隣人と神への愛に生きるなら永遠の今光り輝く
八五九  悪霊が追い出されたる光景を目に焼き付けて教団立ち上げ
八六〇  三日目の蘇りまで予告してイエス目指せり神殿の庭
八六一  憎しみに愛で応える戦略でキリスト教はローマ覆えり
八六二  キリストの死の責任は誰にあるローマかユダヤ、イエス自身か
九六三  イエスこそ救い主だと認むるやただそれだけが新たな契約
八六四  父と子と聖霊なるは一つなりその理は神のみぞ知る

 

ソクラテスとプラトン

八六五  万巻の書を読みたれど如何せむ己知らずば無知にしかずや
八六六  お互いの無知を認めて学び合い、共に築かむ明るき世界
八六七  無知の知に導く対話罪ならば哲学の死や毒杯仰がむ
八六八  正義とは理性が欲を制御してやる気起こして花を咲かすや
八六九  予め物区別するイデアありイデアなくして物はあるまじ
八七〇  善美なる「らしさ」なければ何事も分かちがたくて定かならずや

 

現代社会講義

八七一  産業の日進月歩は止められぬせめて目指せや良きグローバル

八七二  部分より全体が先それ故にポリスのために生きるが人間

八七三  おそるべしリヴァイアサンが牙剥かばホロコーストの地獄絵巻か

八七四  土地ありて其処に暮らせし人有れど主権なければ国家生まれず

八七五  とりどりの社会集団とりまとめ利害を調整、国家集団
八七六  公共のためを装い資本家が働く者を抑える道具か

八七七  市場での自由な競争保障せば国家は夜警に徹すればよし

八七八  出来立ての道路を明日は掘り返し作り直してケインズ効果
八七九  国民の家父長が王だとは聖書のどこにあるのやら
八八〇  生きていく権利を守るそのために君に託せり統治の杖を

八八一  自然権社会契約説きながらリヴァイアサンで専制護持す

八八二  耐えがたき圧政あらば吾起ちぬ契約したるは何ゆえなると
八八三  持ち出すな自分の利害は棚に上げ、ただひたすらに皆の幸せ
八八四  法作る人が、権力握るなら、権力縛る法は消え行く

 

ボーダン 主権概念の確立

八八五  分けられず壊されずして限られぬ至高の力これぞ主権

法治主義rule by law
八八六   国王の気ままな政治防ぐため手続き確かな法で支配を
 

「法の支配rule of law
八八七  万人の理性が頷く道理ありそれに基づく法の支配を
 

『大日本帝国憲法』と『日本国憲法』

八八八  人権といふ言の葉もなかりけり法が認めて権利生ずる


人権宣言のあゆみ

八八九  人間であれば誰でも有したる権利叫べり人権宣言
 

『ワイマール憲法』社会権の登場

八九〇 せちがらき世になりぬれば生存の権利を国が手当せざるや

 

人権の国際的保障

八九一  人権の失われし国ならば大君の辺にこそ死なめと謳ふ他なし

そもそも憲法とは何か?
八九二  主権者が国家の意思の大綱を明文化せしそれが憲法
 

『大日本帝国憲法』との比較
八九三  日ノ本は皇国(すめらみくに)ぞ天皇(すめろぎ)のしろしめさるる神の国なり

日本国憲法の基本原理
八九四  国民に主権移して人権を守りて築けや平和の礎

象徴天皇制
八九五  すめろぎは神にあらねど人として募る思いを語り得ざるや

平和主義と日本の安全
八九六  国のため戦うことを放棄して、丸腰の国誇らかに謳ふ

東西冷戦と日米安全保障条約
 
八九七 アメリカの核の傘にぞ守られて、不沈空母と呼ばれけるかな      
 

解釈改憲
八九八 戦わず武器も持たない国づくり、ただの夢想か魁なるかな 
 

違憲判決
八九九  国守る自衛の権はありとても剣を取らずにいかで守るや
 

憲法第九条による歯止め
八九九  九条の歯止めなければ米軍の尻追いかけて戦場に立つ
 

自民党の第九条草案
九〇〇   自衛軍国際貢献旗立て地球狭しと戦火交える
 

 

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