はかなさを強くくだく 老人の美しさ

                                船曵 秀隆

1、

手紙を書く度  手紙を書く度

はかなさを強く くだいていく

2、

驚いた朝の中に捧げる

死の階段を登る

あそこは光のシャワーみたいだ

間違いのない機会を生きる

一人の手は世界の皆の手の中に

あ 朝焼けに満ちた月見つけた

3、

光の月の陰を照らす魔法

いつか死を持つこの日この宿

いつか死を待つこの日この宿

星を飛び映る屋根

月も夕焼けに寄り添うように

時を裂き君と出会えないこの僕に

願いを叶えんとするはかなさをくだく力

死の顔を洗う

せっけんはきっと子供の笑い声さ

厚み重なる雲に架かった虹にかぶりつく

4、

若さという葉離れた僕は上へ上へ飛ぶ

そこからはかなさを宿した月から

見えてくる光があるのさ

みにくさの見え方の一つ一つを大切にした 打算もやめた

集まって来る亡者はくだらない

ささいな強がりと優しさを合わせ持つ動物達

美しさは胸の全ての内に在るというのに(老人の美しさ)

そんな僕らを信じてる

若さという葉離れた僕は上へ上へ飛ぶ

人類が回る 

永遠は坂のよう

月は追い越せない

星は追い越せない

海の果てにて

5、

(おかえり)

6、

星を被う光は  月の灯火

源は

そんな光を信じたい

月の降る晩 月の降る晩

 

船曳秀隆への感想

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